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ドロドロ血液を防ぐ生活習慣・食習慣

本格的な夏に向けて

暑い夏は、よく汗をかくことから脱水症状になりやすく、結果、血液がドロドロの状態に陥りがち。それどころか、ドロド○血液がもたらす環境によっては、動脈硬化を引き起こしやすく、脳卒中や心筋梗塞といった重篤な疾患を引き起こす原因にもなりかねません。

よく耳にする「ドロドロ血液」って?

本来、「ドロドロ血液」「サラサラ血液」は、医学的な言葉ではありませんが、血液の状態の良し悪しを表現する言葉として、象徴的に使用されています。TVなどでもよく耳にし、なんとなくイメージできている悪い血液の状態です。そして、血液をドロドロにする原因は大きく2つに分けられます。
1つは、脱水や多血症により、血球成分が異常に増殖して、血液が濃< なったり、固まりやす< なる場合です。
そしてもう1つは、糖尿病や脂質異常、高血圧、肥満や喫煙など、動脈硬化を引き起こすさまざまな因子・生活習慣によってつくられる血液の状態そのものですもつまり、動脈硬化の予防こそが健康のキーポイントといえ、ここでは後者に述べた動脈硬化を引き起こすドロドロ血液を防ぐための情報です。

血液と血管の役割

血液の中には、赤血球、白血球、血小板の血球成分と、水分やたんばく質、糖皆只などを含む血嬬邪成分があり、細胞に栄養素や酸素を運んだり、老廃物の運搬、免疫作用など、人体にとって重要な役割を果たしています。しかし、日常生活において、運動不足や栄養の偏り、喫煙や飲酒などの積み重ねで、いつの間にかドロドロ血液に陥っている人も少な< ありません。以下のチェック表で、自分の血液の状態を考えてみましょう。

血液ドロドロ度チェック

  1. 食べ物の好き嫌いが多い
  2. 1週間に3回以上の外食
  3. 魚より肉好き
  4. 野菜がきらい
  5. 甘いもの好きで食後のデザートは欠かせない
  6. 朝食は食べない
  7. 揚げ物、フライ、天ぷらなどが好き
  8. 食事の時間が不規則で夜9時過ぎに食べることも多い
  9. 早食い
  10. そば、ラーメンは汁まで飲む
  11. おなかいっぱいたべないと気がすまない
  12. 毎日晩酌をする
  13. たばこを吸う
  14. 腹まわりの脂肪が気になる
  15. スポーツは滅多にしない
  16. ストレスが多い
  17. 親族に心筋梗塞や狭心症、脳卒中になった人がいる
  18. 45歳以上の男性または、閉経している

結果判定

  • 9個…血液ドロドロ度がかなり高いです。動脈硬化がかなり進行している可能性が。生活習慣病になる危険性が高いといえます。
  • 4~8個…血液サラサラとはいえない状態です。このままの生活を続けていれば、動脈硬化が進んでしまいます。
  • 3個以下…いまのところは安全圏内ですが、油断は禁物。血液サラサラの状態が維持できるよう、いっそう健康的な生活を心がけて< ださい。

血液ドロドロ注意生活習慣

  • 夜遅い時間に夕食や夜食をとる→摂取エネルギーを消費しきれない(肥満)
  • 味見をしないうちに調味料をかけてしまう→塩分の過剰摂取により血圧が高くなる(高血圧)
  • 食後にミルク・砂糖をたっぷり入れてコーヒーを飲む→エネルギーとう糖分の過剰摂取(肥満・血中脂質の上昇・血糖値の上昇)
  • ケーキや甘いものが好き→糖分の過剰摂取(肥満・血中脂質の上昇・血糖値の上昇)
  • 外食、市販の弁当、ファーストフードが多い→エネルギー、脂肪、塩分の過剰摂取(肥満・血中脂質の上昇・血糖値の上昇・血圧の上昇)
  • 飲酒→中性脂肪やエネルギー摂取過多→肥満・中性脂肪値上昇

初期の動脈硬化でも

動脈硬化の進行には、中性脂肪とコレステロールが大きく関わっています。どちらも生命維持に欠かせない物質ではあるものの、血液中にLDL(悪玉コレステロール)が増えすぎると、血管壁に蓄積し、動脈がダメージを受けます。また、中性脂肪は、VLDL(リポタンパク)という物質に乗って、血液中に運ばれますが、V LDLが増えすぎると、より悪玉の「スモールデンスLDL」がつ< られ、さらに余分なコレステロールを回収するHDL(善玉コレステロール)が減少してしまいます。
LDL自体は悪玉ではなく酸化により真の悪玉に変わって血管壁に蓄積します。こういった状態が続くと血管の内側におかゆのようなドロドロした塊ができ血管内を狭くします。これを粥状硬化とい一般的な動脈硬化とはこの場合を指します。
動脈硬化は初期には自覚症状がなく突然、脳血栓や脳出血などを引き起こし、急に言葉がでない、字が読めなくなる、手の麻痺が起こるといった脳卒中の症状が現れます。
また、心筋梗塞、狭心症などを引き起こし、命を落とすことにもなりかねません。動脈硬化は進行するほど危険な状態なるイメージですが、実は、初期段階でも命に関わる重篤なケースもあります。
早期発見、早期治療しなければなりません。

生活習慣の見直し

ドロドロ血液や動脈硬化と深く関係する疾患である、脂質異常症や糖尿病、肥満、高血圧などの早期発見治療のために、最低でも年1回の定期的な健康診断を受診するようにしてください。どの疾患においても、生活習慣の改善が基本になりますが、偏った食生活にも注意して、さまざまな食品をバランスよく摂取しましょう。また、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、血液の循環をよくし、血管をしなやかにするのに有効です。20分以上かけておこない、無理なく持続させることが最も効果的です。
一般的には、40代からコレステロールや中性脂肪が上がり、メタボ体型へと変化していきます。20代の体重が理想的と言われますが体重測定も入浴前に行う日課にしてしまうといいでしょう。

脳の血管の隠れた詰まりや動脈硬化の度合いが わかる「きらきら星の手の動作

心配な人は自分でチェックできる

動脈に弾性がなくなり、内壁が厚く固くなって、血の通り道が狭くなることを「動脈硬化」といいます。
血管は栄養や酸素など体に必要なものを運搬しているため、この動脈硬化が脳内で進むと、さまざまな脳血管障害が引き起こされます。
脳の小さな血管が切れてしまうと脳出血、脳の血管が詰まると脳梗塞になります。
これらの病気を総称して、一般に脳卒中と分類しています。
こうした病気を引き起こす脳の動脈硬化や脳血管障害の有無や程度を自分で簡単にチェックできる方法があります。それは手首を裏表に回転させ、スムーズに動くかどうかを見るというテストです。

まず、両手のひじを軽く曲げ、手のひらを前に向けて自然に広げます。そして左右の手首を内側に同時に回転させ、手のひらを手前に向けます。
それから、左右の手首を外側に同時に回転させ、手のひらを再び前に向けます。この動作を、約20秒間くり返します。速さは無理のないスピードでかまいません。
手のひらを返す動作を続けるこの動きは、ちょうど子どもがお遊戯で習う「きらきら星」の手の動作に似ています。そして、この間、左右の手のリズムが乱れずにスムーズに回転できれば問題ありません。ですが、左右どちらか、もしくは両方の手の動きが乱れてしまったり、動きがスムーズでない場合は、脳血管障害が進行している可能性があります。

もうひとつは、「指折り数え運動」です。両手の指をスムーズに折り曲げることができるかどうかを見るというものです。
両手のひらを上に向け、数を数えるように、親指、人差し指、中指、薬指、小指の順番で指を折り曲げ、こぶしを握ったグーの状態にします。
次に、小指、薬指、中指、人差し指、親指の順番で手を開きます。この動作を素早く10回程度くり返します。この運動がスムーズにできれば問題ないのですが、左右どちらか、もしくは両方の手の動きがぎこちなかったり、違和感を感じたりしたら、脳血管障害が進んでいる危険性があります。

脳の血管の状態を反映する手の動き

「きらきら星運動」や「指折り数え運動」のように、手に細かい動きを要求する運動は、脳血管の状態を反映しやすいのです。
自覚症状のない小さな脳梗塞が起こって脳の血管の血行が途絶え、脳神経の一部が死んでいたりすると、脳からの指令がスムーズに手に伝わらず、手の動きはぎこちなくなります。
これらの運動をして、右手の動きがおかしいときは、左脳の血管に、また、左手の動きがおかしいときは、右脳の血管になんらかの異常があると考えられます。
また、両方がおかしいときは、頸椎の異常や変形性頸椎症などがある可能性もあります。
この2つの動作は脳血管障害を発見するだけでなく、動脈硬化の予防や進行防止にもとても有効です。
というのも手を動かすことによって脳に刺激を与えると脳の血流がよくない、脳神経の働きも改善されます。
さらに、血流がよくなり、脳細胞に栄養が行き渡るようになると、脳の活性化にもつながります。
また、これらの運動がうまくできなかった人は、脳血管の障害がかなり進んでいる疑いがあります。ぜひ、病院で検査を受けてください。

40歳以上の肥満者は動脈硬化の危険大

動脈硬化は特別な病気ではありません。平均的な生活をしている日本人なら日頃の食生活や運動不足からコレステロールや中性脂肪が血管にたまり、40歳を過ぎると間違いなく動脈硬化がはじまっていると考えられます。
特に太りぎみの人は動脈硬化がより進んでいると考えて間違いないのです。

手の運動で異常がなくても、動脈硬化が進んでいる恐れはあります。実をいうと、動脈硬化や動脈硬化によって引き起こされる病気を防ぐには、手の運動に異常が現れるよりもっと早い時期に動脈硬化を判断する必要があるのです。その目安となるのが肥満です。
肥満かどうかは、体脂肪率の割合を見ればわかります。

肥満かどうかは、体脂肪率(体に蓄えられている脂肪の割合) をみればわかります。体脂肪率は測定器で簡単に測ることができますが、測定器がない場合でも、BMI(BODY MASS INDEX)の値を出せばわかります。
BMI は体重(kg) を身長(m)の二乗で割った数値です。BMIの平均値は21~22で、これが25以上だと肥満、30以上だと高度肥満です。BMIが25を超えていたら動脈硬化になる危険性が高いので、カロリーや脂肪の摂取量をへらしたり、運動をしたりして、肥満を解消するよう意識をかえていかなければなりません。
コレステロールを下げるためにトクホのイサゴールなどの活用もおすすめです。

肥満(特にお腹が出ている)は、動脈硬化の進行が早い

体内で起きる危険な症状ワースト4

血管の老化ともいわれる動脈硬化が進むと動脈が細くなって血流が悪化し、死にまで至る病気を引き起こします。
この動脈硬化を進行させる危険因子として、以前から次の4つの病気や病的状態が知られており、これらの症状が、同じ人に集中しやすいこともわかっていました。

  1. 高脂血症
  2. 耐糖機能異常
  3. 高血圧
  4. 腹部肥満

1のの高脂血症とは、血液中の中性脂肪(トリグリセライド、体内の最もありふれたタイ
プの脂肪) やコレステロールが異常に多くなる病気をいいます。
2のの耐糖能異常とは、体内の糖を処理する能力に異常がある状態、端的にいうと、糖尿
病の疑いがある状態のことです。

3の高血圧は、血液が血管に及ぼす圧力が高すぎる状態。

4のの腹部肥満は、へそを中心としたおなかの中央部分がぱんぱんに張ったように出てくる肥満です。

アメリカの医師は、これらの症状を併せ持っていると、死を招く心臓病を起こす危険性が極めて高いとして、これらの4症状を併発している状態を「死の四重奏」と名付けました。そして、カプランは、同じ個人にこの四症状が集中する要因として、「インスリン抵抗性」というものに焦点を当てたのです。
インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞の中に取り込む働きをするホルモンです。血糖値を下げるホルモンといういい方もできます。人間の体は、細胞の中でブドウ糖を燃やしてエネルギーにしていますが、その過程でインスリンはとても重要な働きをしているのです。
ところが、なんらかのことが原因で体の中にインスリンの活動に抵抗する力が高まって、インスリンの働きが悪くなることがあります。このインスリンの働き…ば言い換えればインスリンの効き目を悪くする力を、インスリン抵抗性といいます。インスリン抵抗性が増大すると、インスリンがあっても血液中のブドウ糖が細胞中に取り込まれにくくなります。
つまり、先ほど述べた死の四重奏のうちの2の、糖の処理が悪くなる「耐糖能異常」の状態を来します。
そのため、血糖値が上がります。また、インスリン抵抗性が増大すると、結果として、脂肪の分解がうまくいかなくなり、脂肪の合成が高まります。そのため死の四重奏のうちの1 の「高脂血症」が起こります。また、インスリン抵抗性が増大すると、ある程度インスリンがあっても相対的なインスリン不足が起こり、その不足を補おうと体が大量のインスリンを分泌します。その結果、血液中のインスリンがふえます。この高インスリン状態が、死の四重奏のうちの3 の「高血圧」を招きます。

つまり、死の四重奏のうち、4の「腹部肥満」を除く3つの症状は、インスリン抵抗性が原因だと説明できるのです。
では、腹部肥満はいったいどう位置づけられるのでしょうか。現在では、さらにインスリン抵抗性についての研究が進んでいます。そして、インスリン抵抗性の根本原因は腹部肥満であるという考え方になりつつあるのです。

内臓にたまった脂肪が諸悪の根源

腹部肥満は、上半身肥満、リンゴ型肥満ともいわれます。おなかに肉がつくといっても、皮膚と筋肉の間に皮下脂肪がたまる肥満とは違い、腸と腸の間にある腸間膜という部分に脂肪がたまって、腹の奥のほうからへその周囲を膨らませるのです。
腸間膜にたまった脂肪を内臓脂肪と呼びます。内臓脂肪は、分解されると脂肪酸という物質になります。
この脂肪酸が血液によって肝臓に運ばれると、さまざまな異常を引き起こします。その1つが「インスリン抵抗性」なのです。また、肝臓は脂肪をつくる臓器ですから、肝臓に脂肪酸が運ばれてくると徹底的に脂肪がつくられます。
その結果、脂肪が血液中にふえたり肝臓にたまったりして、高脂血症や脂肪肝が起こりやすくなります。ところで、注意したいのが、内臓に脂肪がたまってもへその周囲が膨らまない場合です。
このような肥満を「隠れ肥満」と呼びますが、こうした状態でも動脈硬化が起こる素地は十分にあるのです。ですから、ふだんの心構えが重要になります。まず第一に、常に体重を測っていて、いつもの体重をオーバーしたら注意が必要です。

内臓脂肪の量は運動の量で決まる

さて、この腹部肥満は、どんな人に起こりやすく、どのようにすれば避けることができるのでしょうか。
腹部肥満は運動量に関係があるので、日ごろの運動量によって内臓脂肪の有無を推測することができます。
運動をたくさんする人は内臓脂肪が極めて少なく、運動しない人は多いことがわかっているのです。
腹部肥満になりやすいかどうかは、その人のカロリー摂取量とは、ほとんど関係がありません。食事の量を控えていても、運動しない人は内臓脂肪が多いのです。
一日中家にいる主婦や机に向かっている会社員は内臓脂肪がたまっている可能性が高いので、運動するよう心がけましょう。
内臓脂肪をへらすには、1日に300kcalを消費する運動量が目安になります。これは歩く場合12000歩、ジョギングで1日2~3kmです。

糖尿病予備軍の動脈硬化の進行が早い

日本人の25% の人の血糖値が危険信号

一般的な血液検査の検査項目の一つに、血糖値(血液中のブドウ糖の値) があります。110mg/dl下が正常値で、空腹時で140mg/dl以上の場合は、明らかな糖尿病と診断されますが、問題は110~1400mg/dlの場合です。この数値に該当する人は、まず確実に糖尿病予備軍であり、動脈硬化が速く進みやすいことがわかっています。
そして現在、日本人の25、およそ4分の1 ほどは、糖尿病および予備軍であるだろうと推測されています。それでは、血糖値が110~1400mg/dlの場合、なぜ動脈硬化が進みやすくなるのかです。

糖分は体にとって不可欠な三大栄養素の一つです。この糖分を細胞の中に栄養として取り込むときに必要なのが、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンです。
このインスリンが不足すると糖分は細胞内に取り込まれず、血液内にたまってしまいます。
そのため、インスリンとは、血糖値を下げるホルモンということもできるでしょう。ところがなんらかの理由で、インスリンは分泌されているのに、それが効かないために糖分が細胞に取り込まれず、血液中を巡ってしまうということがあります。
このようにインスリンの効き目を悪くする体の傾向を「インスリン抵抗性」といいます。そして、インスリン抵抗性がある状態を「耐糖能異常」といいます。この耐糖能異常の状態になると、血液内に糖分が正常値以上にあるようになります。
すると、この状態を解消しようとする働きによって、血糖値を下げるインスリンが通常以上に分泌されます。「糖尿病予備軍」である血糖値110~1400mg/dlのときは、「明らかな糖尿病」と診断されるときよりもずっとさかんにインスリンが分泌されています。ところで、糖尿病には、

  1. インスリンが不足しているために起こるインスリン依存型
  2. インスリンは豊富にあるのに糖分を細胞中に取り込むことができないで起こる非依存型

の2種類があります。そして、多くの糖尿病は後者の非依存型なのです。

悪いことが次々に起こる

インスリン抵抗性、つまりインスリンが効きにくい傾向があると、正常より多くのインスリンが分泌されますが、インスリンが多すぎるとやっかいなことが起こります。
1つには、血圧が上昇します。これは、インスリンが腎臓に働いて、塩分を排泄しないようにするからです。
実際、最近では、インスリンが多すぎるために起こる高血圧のかたが増えています。
次に、インスリンがたくさん分泌されると、自動的に肝臓は中性脂肪(体の中で最もありふれたタイプの脂肪で代表は皮下脂肪)を作ろうとする傾向があり、逆に善玉コレステロール(動脈硬化を防ぐ働きをするコレステロール) が減少してしまいます。
そして、体内での脂肪の分解がうまくいかなくなり、脂肪の合成が高まるばかりで、その結果、高脂血症(血液中に脂肪が著しく増えてた状態) が起こります。
さらに、血液中にふえた糖分は、たんばく質にくっつく性質があり、糖化たんばくと呼ばれるものを作ります。この糖化たんばくは、血管に障害を与え、病気を引き起こすのではないかと考えられています。
このようなことから、インスリンの分泌が多すぎると、確実に動脈硬化は進行してしまうのです。
動脈硬化の危険因子(病気を起こす要因となるもの) は7つありますが、血糖値が高いこともその1つで、血糖値が低いかたに比べて危険は3倍高まるといわれています。

1日1万歩以上歩く

では、検診などで「血糖値が110~1400mg/dlの範囲にあり、まだ明らかな糖尿病ではない」と診断されたら、どうしたらいいのでしょうか。
「糖尿病とはいえない」といわれれば安心されるでしょうが、実はこの状態に至るまでに10年以上という長い病歴があり、すでに健康とはいえない状態となっているのです。
そして、糖尿病とはいえなくとも、高血糖症(血液中に糖分が著しくふえた状態) や高脂血症、高尿酸症(血液中に老廃物の尿酸が著しくふえた状態) などは無自覚に進行します。そして、ある日突然、目が見えなくなって眼科に行き、そこで初めて糖尿病と診断されるかたも多いのです。
血糖値が110~1400mg/dlと診断された場合には、症状はなくても病院を受診すべきです。
最近は、インスリン抵抗性を改善する薬剤や、インスリン非依存型の糖尿病の進行をおさえる薬剤、高脂血症を改善する薬剤もいいものがありますので、医師との相談によっては服用されるといいでしょう。
そして、何より最も大切なのは、自己管理です。インスリン抵抗性は、遺伝的なものだといわれているので本質的な改善は難しいのですが、自己管理によりかなりよくなります。
それには、第一に運動です。耐糖能異常の原因として、筋肉に血行障害があって糖の利用が十分にできないためであろうという考え方があります。
筋肉内の毛細血管は、膨大な量なので運動をしてこれらの血行を促進すると、インスリン抵抗性も改善されます。

疫学調査(病気の起こり方を、人間の集団を対象に、統計的方法を使って明らかにする調査) によると、週に2000~3000kcalの運動をすると、動脈硬化の発生率がへることが確かめられています。これの最も簡単な方法は、日に1000~20000歩を少し早足で歩くことです。また、バラエティに富んだ食事も欠かせません。「あれは食べてはいけない、これも…」などと考えるより、食品数の豊かさが大事です。そのうえで体重をふやさないようにすることが最も重要です。お酒は適度ならかまいません。それにより、将来、本格的な糖尿病になるリスクを、確実にへらすことができるでしょう。

脳出血の前ぶれ

血管がか詰まる「脳卒中」が急増

脳卒中は、脳の血管が「破れる」か「詰まる」かによって起こります。どこの医療機関でも脳卒中の患者さんは急増しています。

  1. 脳の血管が破れるタイプには、「脳出血」と「クモ膜下出血」があります。脳出血は高血圧のために細い血管にコプのようなものができ、それが破裂して出血するものです。クモ膜下出血のコプは、血圧とは関係なく、脳の表面を覆う膜の下にできて、出血します。
  2. 脳の血管が詰まるタイプが脳梗塞と呼ばれるもので、これには「脳血栓」と「脳塞栓」があります。
    脳血栓は、動脈硬化のために狭くなった脳の血管の中に血液の塊(血栓) が付いて、やがては血管が詰まるものです。脳塞栓は心臓などでできた血栓が脳の血管につまるものです。

かつては仙脳出血が最も多かったのですが、栄養状態の改善で血管壁が丈夫になり、減塩など高血圧を改善する方法が普及されるにつれて、脳出血はへっています。しかしながら、脳棟塞のほうは著しくふえています。

本格的な発作は春、前触れは秋から冬

一般に「脳卒中は冬に多い」と信じられているようです。血圧が高いかたは冬に不安を感じているかもしれませんが、実際には冬だから多発するというものではありません。
脳卒中が冬に多発するといわれた理由を推測すれば温度と湿度の変化、つまり、寒冷と乾燥があげられるでしょう。
たしかに脳卒中による死亡率は東高西低で、寒冷地に多いようです。しかし、ワースト1は北関東で、北海道のほうが下回ります。
現在は、生活環境の改善により四季による体感温度差や温度差がはへっているといえます。
実際の医療現場での実感は3~5月が多いと言います。ただし、脳卒中を起こす前に多くの人は、「前触れ」の発作を体験します。
そして、本格的な脳卒中は、それから3~6ヶ月以内に起きることが多いのです。
つまり、春に本格的な脳卒中が起こりやすいということは、秋~冬にかけて前触れの発作が起こりやすくなっていると考えられます。

手足のしびれ、めまいも危険なシグナル

よくある前触れの症状は、突然、ぽろりと湯飲みやペンなどを落としてしまうものです。
他にも手足がしびれて動かなくなってしまったり、痙攣する、めまいがする、話がしにくい、ろれつがまわらない、目の焦点が合わなくなる、片方の目だけ見えなくなる、視野が狭くなる、耳が聞こえなくなる、瞬間記憶が飛ぶ、よだれが出る…などがあります。

このような症状は、数分から数時間でおさまるものと、1~20日でおさまるものがありますが、いずれにしろ自然に消えてしまいます。このような前触れは、血の塊(血栓) が一時的に脳の血管を詰まらせてしまうために起こります。そして、血栓が小さかったり、血管内の狭まりがそれほどでもなかったりするために、血栓は自然に溶けて再び血液が流れるようになり、それと同時に症状も消えてしまいます。
とはいえ、一時的にでも症状が出るということは、いつ本格的な脳卒中が来てもおかしくない体の状態にあるということですから、前触れを見逃してはなりません。
「たかが一度、湯飲みを落としたぐらい」などと軽んじると取り返しのつかないことになりかねません。また、前触れをくり返して起こした脳卒中ほど重いので、前触れがあったらただちに医師のもとへ出向いて治療を受けてください。それにより、本格的な脳卒中の発生の5~6割が未然に防げます。

若くても突然、血管がつまる新しいタイプ

急増している欧米型食習慣

食生活の欧米化により、動脈硬化のあり方も同じように変化しています。これまで一般的には、動脈硬化は徐々に進行し、高齢になって初めて心臓病や脳卒中(脳の血管が詰まったり破れたりする病気) を引き起こす、と考えられてきました。
つまり、血管が正常の80~90% も狭くなった段階でこういう事態が引き起こされる、と考えられてきたわけです。
もちろん、それで間違いないのですが、日本人の食生活が低カロリー・低脂肪から高カロリー・高脂肪と急速に変化してきた結果、30代、40代でも心筋梗塞(心臓の筋肉に血液を供給する冠動脈が詰まる病気) や脳梗塞(脳の血管が詰まって起こる脳卒中) を引き起こす、欧米型の動脈硬化が急激にふえてきています。欧米型の動脈硬化の怖いところは、血管が30~40% しか狭くなっていなくても突然起こることです。
欧米型の動脈硬化が起こるしくみは、基本的には従来型の動脈硬化と同じです。ただし、違うのは次のような点です。

  1. 高脂血症(血液中に脂肪が著しくふえた状態)
  2. 耐糖能異常(糖を調整する能力「耐糖能」に異常が現れた糖尿病の直前の段階)
  3. 高血圧
  4. 肥満

これら4つの危険因子が、従来型の場合は単独で出てくることが多かったのですが、欧米型の場合は複数重なって起こることが多いのが特徴です。
欧米型の動脈硬化が起こるしくみは、血管の内腔(内側の血液の通り道) と血管壁とは、内皮細胞という組織で隔てられています。
この内皮細胞が動脈硬化の危険因子の影響を受けると、さまざまな物質を作るようになります。代表的なものは接着分子という物質です。
接着分子は、内皮細胞の上で血液中の白血球(組織内の異物を食べる血液成分の一種)をさかんに取り込むようになります。すると、取り込まれた白血球の一部が内皮細胞のすき間に入り込んでいきます。そして、しだいにマクロファージ(免疫細胞) へと変化していきます。これまでは

  • マクロファージが悪玉コレステロールのLDLをさかんに取り込む
  • その結果、処理能力の限界を越えて泡沫細胞という細胞を発生させる
  • 泡沫細胞が動脈硬化の初期の病変であるアテローム( 粥状物)になる

と解釈されてきました。
ところが、「マクロファージが取り込むのは、LDL だけでない。レムナントという、LDLに変化する一歩手前のコレステロールも取り込む。これを取り込むことのほうに問題がある」ということが最近わかってきました。

血管内のカスが破れ血栓を作る

従来の食生活でも、動脈硬化の主な原因はLDLにあったわけで、今もこの点は変わりません。それでも昔に比べると今のほうが、血管が少し狭くなっても心臓病を起こすような動脈硬化が起こります。
これは、高カロリー・高脂肪の食生活によって、マクロファージがレムナントを取り込むようになったことが主な原因だということもわかってきました。

マクロファージは、LDLが酸化しないと取り込めないのですが、レムナントは酸化しないでも取り込まれます。そのため、どんどん取り込まれ、プラークという物質が作られます。プラークは、いわば血管内のカスで、もともと非常にやわらかく不安定ですが、これを保護するかのように、固い動脈硬化が形成されていくのです。ところが、プラークが30% 、40% と血管の内腔を狭くすると、形成される時間が急激でまだホカホカしていてやわらかいせいもあって、非常に破れやすくなっています。
プラークが破れるとけがをしたときと同じように、血液凝固作用で血栓(血の塊) が作られます。血栓がしだいに大きくなると、血流を損ない、心筋梗塞や狭心症を引き起こすのです。従来型の動脈硬化は、アテローム形成にそれなりの時間が必要で、その間に安定化し、かつ血管の狭まり具合も多かったため、高齢者の病気とされてきました。
しかし、現在では心筋梗塞や狭心症、突然死などの虚血性心疾患の半数(75% という報告もあります) がプラークの破裂によると考えられています。最近のプラークは加齢に関係なく、急速に作られ、わずかな血管の狭まりでも起こりますから、若いからといってけっして安心はできないのです。
しかも、何の前触れもなく突発的に起こりますから、やっかいです。特に動脈硬化の危険因子を持つ人は注意が必要です。それにはなんといっても食事の改善が大切です。まず、食事の絶対量をへらしながら、動物性脂肪を極力避けるようにします。

当然、適度な運動も必須で、散歩などのストレスにならないような軽度の運動から始めることをお勧めします。焦らずに少しずつ運動量をあげていくことがポイントです。
なお、動脈硬化の4つの危険因子のうち一つでも当てはまる人は、食事面、運動面に気をつかいながらも、積極的に医師の処方する薬を服用してみてはいかがでしょうか。