カテゴリー別アーカイブ: 詰まりを防ぐ

ドロドロだけでない!ベタベタ、ギュウギュウ、ギトギト、スカスカ血液はリスクが高い

突然死の現状という日本心臓財団のページを見ると、原因となるのは、圧倒的に心・血管系疾患に関係するものになっています。確かに突然死を招く重大な病気の原因となるのが、高血糖、高脂血症などの血液異常です。
さらさら血液にすぐに戻したいところですが、症状によってその解消法が異なるのです。

突然死のほとんどが血液異常による

秋~冬にかけて最低気温がぐんぐん下がる時期は突然死の発症率も比例して増加します。その突然死の死因を調査すると、9割以上が血液の異常により引き起こされています。冬に向けてこの血液の異常を正すことができれば突然死は予防できるということになります。
血液の異常とは具体的にどういったものを言うのでしょうか?大きく4分類することができます。血液のよくない状態を「ドロドロ」とあわらしますが、もう少し具体的にいうと4つになります。ちなみにドロドロ血液の原因のひとつは低体温です。体を温めることもとても大切です。
では早速、血液を具体的に4つに分類します。

  1. 糖分が過剰でベタベタ血液
  2. 脂が過剰でギトギト血液
  3. 血が濃すぎるギュウギュウ血液
  4. 血が薄すぎるスカスカ血液

です。この4種類の血液異常はそれぞれに異なる原因から引き起こされているわけですから、解消法も異なるのが当然です。ひとくちに血液をさらさらにするといっても血液の状態によって最適な方法を選ばないと逆効果になる場合もあるのです。

ベタベタ血液(糖分過剰)

こんな症状は要注意

  • 寝る前に空腹感がある
  • のどが渇く
  • 疲れやすい
  • 食欲はしっかり
  • トイレが近い

5つの症状のうち、2つが当てはまると「ベタベタ血液(高血糖)」の疑いがあります。
高血糖の原因は、脂質の摂りすぎ、運動不足ですが、特に冬は、暖房や厚着が体内のエネルギー代謝を悪くし、血糖値を上げてしまいます。これが糖尿病、腎臓病、脳梗塞などの原因になります。

天然繊維の肌着で血糖値が安定

人の体は、冬になると、血液を濃くする傾向があります。血中の糖分を多くして体を温めるエネルギーをつくろうとするのです。冬を越すために動物は肥えているのもこれと関連しています。したがってこの時期、ベタベタ血液を解消するには、暖房を弱め、薄着を心がけるのがよい方法です。体内から温めるために、血液中の糖分を代謝する働きが活性化し、高血糖を改善できるわけです。また、肌着は化学繊維よりも天然繊維のほうが、静電気によるストレスが少ないため、血糖値を安定させます。

食事は和食で酢の物を先に食べる

血液を糖分でベタベタにする最大の原因は、何といっても、高脂肪・高カロリーの食生活にあります。必要以上に摂取されたエネルギーが、糖のかたちで血液中にためこまれてしまうからです。したがって、ベタベタ血液をサラサラにするには、低脂肪・低カロリーの食生活を実践するのが最善の方法。
伝統的な和食ならば、この条件にぴったりです。なかでも酢の物は糖質の吸収速度を抑えるので、最初に食べておくと血糖値の急上昇を防ぐことができます。酢の物を作ることが難しい場合は、食前に酢を飲むといでしょう。黒酢についてはこちら

ギトギト血液(脂質過剰)

こんな症状は要注意

  • 階段で息切れ
  • 食事を残すことが嫌い
  • 肉料理が多い
  • お酒が好き
  • ストレスが多い

これらのうち、2つ以上が当てはまるという人は、「ギトギト血液(高脂血)」が疑われます。血中の脂肪は、ある程度は必要なのですが、多すぎると、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞につながり、たいへん危険です。50歳以上の女性の場合、総コレステロールの平均値でも要注意ラインを超えていますから、とくに警戒が必要です。

20分の散歩で脂肪を燃焼し、ストレス解消

余分な脂肪をためこまないようにする、というのが「ギトギト血液」を解消する重要なポイントになります。そのためにも注意したいのが、ストレスをためないということです。体内の余分な脂肪は、マクロファージという免疫物質が食べて排出する役割をになっていますが、ストレスがたまるとマクロファージの働きが鈍り、脂肪の排出が滞ってしまうのです。
その点で、冬はとくに注意を必要とします。というのは、寒さからくる外出不足、冬枯れによる色彩不足など、知らずしらずのうちにストレスをためる要因が少なくないからです。
この時期、ストレスを発散する効果的な方法としては、散歩がおすすめです。それも目的を持たないブラブラ散歩が最適です。常緑樹など緑の多いところを歩けば、色彩の効果もストレス解消を助けてくれます。また、20分以上歩けば脂肪燃焼にも効果的です。

ギュウギュウ血液(多血)

こんな症状は要注意

  • 眠れないことがよくある
  • 手のひらが妙に赤い
  • 肩がよくこる
  • 目が充血することがある
  • 尿の色が濃い

これらのうち、2つ以上に心あたりがある人は「ギュウギュウ血液(多血)」の可能性があります。血液中の赤血球が異常に多すぎる状態を多血といいます。とくに冬場など、水分の摂取量が少なくなると、赤血球の割合が高くなり、ギュウギュウとひしめきあっているような状態になりがちです。この状態を放置すると、心筋梗塞、脳梗塞、脳血栓などを引き起こす原因になりかねません。

1日1リットル以上の水分補給

ギュウギュウ血液の原因は、おもに血液中の水分不足なのですから、改善するには、とにかく水分を補給することです。水分であれば、お茶でもジュースでも、もちろん水でもかまいません。ただしアルコール類は、利尿作用が強く、逆に水分不足を招くことになりかねないので、ここでは除外します。
飲む分量は、最低でも1日に1リットルは必要です。ただし、それを一度に飲むのではなく、少しずつ取るのがコツ。体内に、つねに十分な水分を保つようにすることがポイントです。
水分摂取は回数、温度、量にこだわるが参考になります。

風邪をひいてしまったら水分摂取を多めに

風邪をひいたときも、水分補給はたいへん重要です。というのは風邪をひくと、肺機能が低下することから酸素の摂取量がふだんよりも少なくなり、血液中の赤血球が増加して「ギュウギュウ血液」の状態が進んでしまうからです。さらに、発熱があった場合、発汗などでますます水分不足になってしまいます。
したがって、風邪をひいたらかならず多めに水分を補給することが必要です。また、体内の水分不足が風邪を招いている場合もあります。冬に風邪が流行する原因のひとつは、空気が乾燥するからです。「冬になると風邪をひく」という人は、予防のためにも多めに水分を補給するとよいでしょう。

スカスカ血液(貧血)

  • 忘れをよくする
  • ボーッとすることがよくある
  • 疲れやすい
  • あくびをよくする
  • 爪の色が白っぽい

これらのうち、2つ以上が当てはまる人は「スカスカ血液(貧血)」の傾向があるかもしれません。「スカスカ血液」は赤血球が不足しているわけですから大変危険な状態です。
貧血の患者数は、近年、増える傾向にあって、現在、中高年女性のほぼ3人に1人が貧血ぎみであるといわれます。女性の場合、さまぎまな体調不良から「スカスカ血液」の状態におちいりがちですから、それが慢性化しないよう注意が必要です。

栄養補給と日光浴

「スカスカ血液」改善の第一歩は食事の工夫です。まず、赤血球のもととなる鉄分を多く含む食品(ヒジキ、ノリ、アサリ、レバーなど)を積極的に取ること。また、鉄分の吸収を助ける働きのあるビタミンB6(サバ、マグロ、バナナ、さつまいも)など、ビタミンB2(シジミ、牡蠣、スジコ、タラコ)を同時に摂るようにします。そして冬は特に積極的に太陽に当たることで体内にビタミンDが生成されて骨の形成を促進。その骨が赤血球をつるからです。1日10分で十分に効果的です。
鉄不足でめまい・貧血が起こり、集中力や思考力が低下する

半身浴は血管の詰まりに効果大

中高年は注意したい入浴の際のお湯の温度

日本人はもともとおふろ好きですから温泉旅行なども好きな人が多いです。お湯の温度へのこだわりも各人各様にあるようです。肌が真っ赤になって、ほてるほど熱くなければいやだという人もいれば、ぬるい湯でじっくり長くつかりたいという人もいます。
若い人で特に病気がなければれば基本的にどのような入り方をしてもさして問題はありません。
けれども中高年の人、または、これまでに脳や心臓の血管が詰まって起こる脳梗塞や心筋梗塞などの病気を患った人は、お湯の温度を39~40度 のぬるめに設定して入ることをお勧めします。
中高年以降は動脈硬化が進行することによって、血液の状態や血流に変化が起こります。そうすると、血管を詰まらせたり、破れさせたりする原因である血液の塊「血栓」ができやすくなりますが、お湯の温度が42度 を超えると、この血栓の生成をさらに促進してしまうのです。

血栓の生成を促す4つの危険因子

たとえば、転んですり傷ができたり、包丁で指を切ってしまったりしたとき、傷口から出血しても数分で血液は固まって出血が止まります。血液がすみやかに止まるのは、血液を固める血小板と呼ばれる血液の成分がまず最初に機能するからです。
けがをすると、血管の破れた部分に血小板が集まって固まり合い、そこへフィプリンという線椎状の物質が出てきて血液をさらに固め、破壊された箇所をふさぎます。
血小板は止血になくてはならない働きをしますが、血小板の働きが活発になりすぎると、血管が破れていないのに血液が固まって、血栓ができやすくなってしまうのです。なぜ熱いお湯は血栓の生成を誘発するのか?を紹介します。

〔その1〕熱い湯は血栓の原因となる血小板の働きを活性化させる

血小板にはβ-TG と血小板第4因子と呼ばれる物質が含まれています。この物質は血小板の働きが活性化すると血液中にふえます。44~47の熱いお湯に3分間入浴すると、明らかに両者の血中濃度が高まり始めます。

〔その2〕熱い蕩は血栓の溶解能(溶かす能力) を低下させる

血栓は健康な状態でも生成されますが、それが大事にいたらないのは血液中には血栓ができると、すぐにそれを溶かしてしまうしくみが備わっているからです。
血栓を溶かす働きをする物質をプラスミンといいます。そして、血液中にはこのプラスミンの生成を促進するTーPA と呼ばれる物質(促進物質) と、それを阻害してプラスミンの生成を阻害するPAIと呼ばれる物質(阻害物質) があります。両者の力関係は普通は対等ですが、阻害物質の力が優勢になるとプラスミンの働きが悪くなって血栓を溶かすことができなくなってしまいます。

38~41度の温泉に入浴して、促進物質と阻害物質のバランスを調べてみると、37~40度のお湯ではプラスミンの生成促進物質の血中濃度が高く、阻害物質が低下しますが、お湯の温度が42度を超えるとその逆となる傾向があります。いわゆる半身浴が体にはおすすめです。
これは42度以下のお湯に入ると、プラスミンの生成が促進されて血栓を溶かす能力が高まり、42度以上のお湯ではプラスミンの生成が低下して血栓ができやすくなることを意味しています。
また、眠りのために必須のメラトニンも熱すぎないお風呂に20~30分入ることで分泌されます。さらに寝る2時間前に入浴するのがポイントです。
就寝2時間前に入浴する

〔その3〕熱い湯は血液の粘度を上げる

血液は粘度の低いサラサラした状態であれば、よどみなく血管を通過することができます。ところが血液がドロドロとして粘り気を帯びると、血流が悪くなるとともに血栓ができやすくなります。脱水などの状態は血液の粘度が高くなっています。

血液の粘度はお湯の温度によって左右されます。42度 のお湯に下あごまでつかった全身浴と、胸の下までつかった半身浴、38度のお湯の全身浴の3例で血液粘度の変化を比べてみました。入浴時間はそれぞれ10分です。
その結果、血液の粘度が最も高くなったのは42度の全身浴でした。
ぬるめのお湯が体にいいということが確認されました。

〔その4〕熱い湯は交感神経を刺激して血圧を上げる

熱い、冷たいといった温度の刺激は皮膚を通して自律神経に届きます。自律神経とは血管や内臓の働きを調整する神経で、交感神経と副交感神経があります。
交感神経は、心臓の興奮を高めて心拍数をふやし、血圧を上げるなど全身の活動力を高めます。副交感神経は心臓の興奮を低下させて心拍数をへらし、血圧を下げるなど体を休ませるように働きます。
熱いお湯に入ると、交感神経交感神経の働きが活発になり、大きな血圧の変化を招いて出血や血栓を起こしやすくします。動脈硬化が進行している場合、血管がもろくなっているからです。
朝が苦手な人の場合、起床したら熱めのシャワーを浴びると目が覚めます。夜は逆にぬるめのお湯でゆったりつかると副交感神経が優位になり、快眠できるのです。

安心、安全な入浴法とは、ぬるめのお湯に入ることです。中高年者や血管に動脈硬化など病変のある人では、熱いお湯が健康を害する危険性が高くなります。血栓を作らないためには、ぬるい湯への入浴が最適なのです。

ここで上手なぬる湯入浴の方法をを紹介しましょう。
お湯の温度は38~40度くらいが適当です。「ぬる湯では湯冷めが心配」という人もいるでしょう。しかし次のような方法で簡単に湯冷めを防ぐことができます。
みぞおちから下をお湯につけ3~5分ほど温まります。いったん浴槽を出て体を洗ったり、コップ一杯の水を飲んでから数分後、再度3~5分間お湯につかり、浴槽を出ます。これを2~3回くり返すとおふろから出た後も皮膚の血流量の増加状態が長く続く一方、心臓に負担をかけないといった一石二鳥の効果が得られます。

脳梗塞や心筋梗塞を起こし、血栓ができたために、体にマヒが残っているという場合、リハビリの意味でお湯の中で軽く手指や足指の曲げ伸ばしを行うといいでしょう。ぬるま湯入浴に適した時間は、就眠前です。ぬるめのお湯は、副交感神経を優位にして、心身をリラックスさせるので、その後ぐっすり安眠することができるでしょう。
その後にTVを見たりパソコン、スマホなどは見ないで布団に入るといいでしょう。

お風呂が本来、あまり好きでない人は20分も入浴するのは苦痛です。入浴時にバスソルトと精油を混ぜる方法でかなりリラックスできゆったりと入浴できるでしょう。お風呂は、緊張した体をほぐすためにもとても大切な時間です。ばりばり働いている現役の人も是非おすすめです。

チョコレートが血管のしなやかさを保って動脈硬化を防ぐ

放置できない動脈硬化

動脈硬化とは、動脈にコレステロールや中性脂肪などがたまって動脈の血管壁が厚くなり、弾力性が失われ、動脈全体が硬くなった状態をいいます。
これは、動脈の血管壁にコレステロール中性脂肪、カルシウムが沈着することによって起こります。動脈硬化は全身のいたるところで起きます。
たとえば、冠状動脈が硬化すれば心筋梗塞が、脳動脈が硬くなれば脳梗塞が起こる原因となります。また、大動脈が硬化したり、遺伝的な動脈壁の異常などで血管の一部がコプ状に膨らみ、これが破裂して大出血を起こすと、動脈瘤破裂という致命的な病気に至ります。このような深刻な事態にならないまでも、動脈硬化によって血流が悪くなれは、酸素や栄養が体のそれぞれの組織に行き渡らなくなります。そして、臓器の機能低下を招く可能性もあります。ですから、予防はもちろんのこと、早期治療が必須となります。
コレステロールの血管壁への沈着を防ぐには、薬の服用や食事・運動療法が有効です。コレステロール値が高い人は症状が進む前に医師の指導を受けたほうがいいでしょう。生活習慣、食習慣などを根本から変える必要があります。

動脈の柔軟性を握る弾性線維

動脈硬化の予防と治療には、コレステロール値を正常にするとともに、動脈の柔軟性を損なう原因となるカルシウムの沈着を防ぐことも非常に大切です。
動脈は土管のようなもので、血液はその土管を勝手に流れている、と思われがちですが、そうではありません。実際には動脈はゴムのような柔軟性に富む臓器であり、心臓の拍動に合わせて収縮をくり返して血液を先へ先へと送っています。
この動脈の収縮運動を支えているのが、動脈の周囲をパームクーヘン状に取り囲んでいる、エラスチンと呼ばれる弾力性に富んだ線維です。
動脈は外側から外膜・中膜・内膜の三層からなっていますが、エラスチンは主に中膜にへいかつきん存在する平滑筋細胞から作られています。平滑筋細胞は、自らも収縮する特性をもち動脈の柔軟性を保つ役割を担っています。
エラスチンは、たいへん弾力性のある線維です。ところが、加齢により状況は変わっていきます。
カルシウムやリン酸がエラスチンに沈着するようになり、動脈の石灰化が起こるのです。すると、動脈は弾力性を失って十分に収縮せず、血液を円滑に送り出すことができなくなってしまいます。動脈硬化を誘発する二番目の要因は、カルシウムの沈着なのです。

チョコレートの成分は、動脈を柔軟に保つことができる

エラスチンの石灰化にを抑制するのは、カルシウムの沈着を防ぐしかありません。ビタミンKは、このカルシウムの沈着を抑制する作用があります。
です。ビタミンK は、カルシウムの結合を調節する「γ-カルボキシルグルタミン酸(Gla) 含有たんばく質」(以下、Glaたんばく質)を作るからです。Glaたんばく質は、ビタミンK によってグルタミン酸( アミノ酸の一種) を元に作られ、存在する場所によって二種類に分かれます。
骨にあるオステオカルシン(骨Glaたんばく質) は骨へのカルシウム結合を強固にして丈夫な骨を作り上げる手助けをします。
軟骨や動脈など軟部組織にあるのがマトリックスGlaたんばく質で、軟骨や動脈が硬くならないよう、カルシウムイオンの結合を調節する働きをしています。
こうしたビタミンK の働きに注目し、天然物の中でビタミンKと同程度の作用をもつものが存在します。それは、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールという成分です。実はカカオポリフェノールには、以前から動脈硬化を防ぐ働きがあることは明らかにされていました。
コレステロールをはじめとした脂質が動脈硬化を引き起こすのは、体内で発生した活性酸素と呼ばれる酸化力の強い酸素によって脂質が酸化され過酸化脂質となり、これが血管を障害するからです。カカオポリフェノールは活性酸素を消去し、脂質が血管に悪影響を起こさないように働きます。
今回、新たに確認したのは、カカオポリフェノールには、ビタミンKと同じく体内におけるミネラルの代謝(入れ替わり) を調節する働きがあるということでした。
カカオポリフェノールがもたらす動脈硬化防止作用のしくみは、まだはっきりとわかっていませんが、動脈硬化の予防にはたいへん心強いものです。
チョコレートは、抗ガン作用・抗アレルギー作用・抗ストレス効果などさまざまな生理作用を備えています。ちなみに1997年8月、122歳で亡くなった世界一長寿のフランス女性の好物はチョコレートで、毎日食べていたそうです。

血管の詰まりを防ぐ食品のベスト1はマグロのトロ

100種類以上の食品の血栓予防効果を分析

生活習慣などにもよりますが、一般に老化現象として、加齢により血管からはしなやかさが失われ、血液もドロドロと濃くなってきます。すると、血液の塊である血栓ができやすくなり、血管の詰まりが起こりやすくなります。
食物に含まれる機能性成分によって血栓の予防ができないかと、さまざまな研究が行われています。
その中で、野菜や魚の血栓を防ぐ効果を一つ一つ分析して、それを点数で表してみることにしました。
これを、「血栓予防点数」と呼んでいます。これまでに100%種類以上の野菜や魚を分析して、血栓予防点数をつけてきました。その結果、100g当たりの点数で比較して血栓予防効果が最も高かったのが、本マグロのトロで、1600点という点数でした。ほかにサバ、ハマチ、マダイが1500点前後と高く、これにマイワシ、ウナギ、サンマ、ハモと続きます。これらの魚にはE PA (エイコサペンタエン酸) やDHA (ドコサヘキサエン酸) という不飽和脂肪酸が豊富なのが特徴です。
このEPAやDHA には、さまざまな効能があることが近年の研究から明らかになってきています。
なかでも、血栓ができるのを防いだり、悪玉コレステロールをへらしたりするという働き健康にとってたいへん有用なものです。一般に食卓に上るマグロやハマチ、マダイなどはたいてい養殖のものですが、養殖の餌にはイワシが使われています。イワシもEPAやDHAを多く含む代表的な魚の一つですから、そのイワシを餌にしている養殖の魚が高得点なのは納得がいきます。
野菜については、ニンニク、ホウレンソウ、ニラ、トマトなどが高く、果物ではマスクメロン、プリンスメロンといったメロン類が高得点になっています。

血栓を予防する魚介類の点数一覧

  • 1400点以上…本マグロ(トロ)・ハマチ(養殖)・マダイ(書殖)・サバ
  • 1000点以上…ブリ・マイワシ・ウナギ(焼き)・サンマ
  • 800点以上…ニシン・サワラ
  • 500点以上…シシヤモ・サケ・アジ・アナゴ
  • 400点以上…アユ(養殖)・カマス
  • 200点以上…タイ(天然)・タラコ・カジキ・カレイ・スズキ
  • 100点以上…ツナ缶・カキ・カツオ(生)・キス・イカ
  • 100点以下…タラ・タコ・本マグロ(赤身)・クルマエビ・シジミ・アサリ

血栓を予防する野菜類の一覧

  • 100点…ラディッシュ・シュンギク・インゲンマメ・ホウレンソウ・パセリ・トマト・ニラ・ニンニク・ナガネギ・プリンスメロン
  • 50点…サラダ菜・大根菜・ワケギ・カブ・シソ・アサツキ・アスパラガス・チンゲンサイ・イチゴ・グレープフルーツ
  • 30点…モヤシ・セロリ・レモン・ミツバ・グリーンピース・ニンジン・タマネギ・ブロッコリー

1日1000点をバランスよくとる

ただし、血栓予防点数がそっくりそのまま血栓の防止に反映するわけではありません。食品の作用は薬品とは違い、さまざまな成分の複合的なものですから、絶対に正確な一定の数値というのはありえないのです。
とはいえ、血栓予防の目安としては十分に活用できると考えています。血栓予防点数のつけ方は、魚の場合はEPA 、DHA の量と血栓予防効果とが相関していることがわかりましたので、これらの含有量で点数をつけました。
野菜、果物については、やはり血栓を防止する物質であるアスピリンと効果を相対的に比較することから、点数をつけました。
この際、野菜や果物をジュースにして測定しているため、点数は水に溶ける成分の効果だけを示すものになっています。しかし、水に溶けない成分に血栓を防ぐ効果があることもありますから、実際の効果はこの限りではないでしょう。
しつこいようですが、あくまでも目安なのです。これらの数値は生の状態での値ですが、加熱、加工してもさほど効果が変わらないことがわかっています。
実験でもイワシをさまざまに加工調理したのですが、意外に数値は維持されていました。食品によっては、加熱することでむしろ血栓予防効果が高まると考えられるものもあります。では、血栓予防のためにはどのような食事を摂ればいいのでしょうか。目安としては、1日に血栓予防点数が600点になるような食事をすることです。それも、できるだけいろいろな食材をバランスよく取り入れることが大事です。点数が高いからと、マグロのトロばかりを食べるわけにはいきませんし、なにより栄養バランスを考えた場合、多種類の食品を食べるのが基本です。1回1000点以上の抗血栓食を食べるだけで血栓の予防にかなりの効果があることが、実際に食事をしたうえでの実験でわかっています。
実験は、5人で9食同じものを食べて、血液を固める血小板の凝集作用がどのくらい抑制されるか、そして血液がスムーズに流れる能力を示す流動性がどのくらい向上するかを検査したものです。実験開始時の一食目は人によって数値がバラバラだったのが、9食目には平均してきました。このことからも抗血栓食をコンスタントに食べていれば、影響がはっきり出るのでは、という印象を持っています。こうしたことから、成人病(生活習慣病) を防ぐためにも、1週間に最低2回、1回1000点以上の食事をしてほしいものです。同じ血栓予防食でも、メニューを魚中心にしたら、次の食事は野菜中心にするなどの変化をつけて、より多くの食材を取り入れるようにしてほしいものです。

イワシは血管の詰まりを防ぐ

背の青い魚に多い成分が血栓を防ぐ

「魚をたくさん食べるエスキモーには、血栓症が少ない」という事実は、すでによく知られていることです。血栓症とは、血管中に血栓(血の塊) ができる病気、または血栓にょって引き起こされる病気をいいます。
専門家がエスキモーの食事を分析したところ、有効成分として抽出されたのがEPA (エイコサペンタエン酸) とDHA(ドコサヘキサエン酸) という脂肪成分でした。これらの成分はイワシ、サバ、サンマなどの背の青い魚に多く含まれ、血が固まるのをおさえる作用があることがわかっています。エスキモーたちは、魚を食べて多量のEPA とDHA を摂取していた結果、血液が固まりにくい。いい換えれば血栓のできにくい血液になっていたのです。
EPA とDHAの効果についてはこちらです

一方、肉食中心の欧米人は、心臓の血管が詰まって起こる心筋梗塞や、脳の血管が詰まって起こる脳梗塞などの血栓症の発生率が非常に高くなっています。
これは、動物性の肉を食べることで、血液を固まらせる働きをもつアラキドン酸という脂肪成分が血液中にふえるため、血栓ができやすくなっているのです。

マイワシの漁獲期の冬に血栓症が激減

それでは、日本人の場合はどうでしょうか。日本人は魚を頻繁に食べている漁村と、あまり食べない山村、これらの中間として都会の人々を対象に血液を調べ、魚に多くて血栓を防ぐEPAと、肉に多くて血栓を招くアラキドン酸の量を比較してみることにしました。
実際に魚を食べるのは、漁村では毎日、都会では過に2~3回、山村では月に数回というのが平均的な頻度です。
これに比例するように、アラキドン酸に対するEPAの割合(EPA の量をアラキドン酸の量で割った値) は、漁村では1.4、都会で0,4、山村で0,2でした。ちなみにエスキモーでは9.0、欧米人では0,03です。この対象地域の中から、北茨城の漁村・大津町などの住民について、さらに詳しく調べてみました。
血液中のEPAの量や血栓症の発生率などを追跡調査してみたのです。その結果、おもしろいデータが得られました。
一般的に、冬は寒さのために血管が収縮して、脳梗塞や心筋棟塞の発生率が高くなるといわれます。ところが、ここでは夏に比べて冬のほうが、脳梗塞や心筋梗塞が極めて少なかったのです。大津港の冬はマイワシの漁獲期で、脂ののったイワシがたくさん獲れ、家庭で食べる畳もふえます。その結果、血液中のEPAも多くなり血栓を予防したと考えられます。反対に、イワシの漁獲高がへる3月以降では、血液中のEPA の畳も少なくなり、血栓症が急増したというわけです。こうしたEPA の効果は、実験でも確かめられています。血小板の浮遊液を入れた試験管に、

  1. 1ミリモルのEPA
  2. 2ミリモルのEPA

をそれぞれ加え、血液を固めるアラキドン酸1ミリモルを滴下しました。すると、1 の1ミリモルのEPA ではわずかでしたが血小板が固まるのを抑制する効果がみられ、2の2ミリモルのEPA ではみごとに血小板が固まるのを抑制していたのです。

実験を行ってみる

これで意を強くした私たちは、自分たちが実験台となり、人間の体で実験してみることにしたのです。実験では、EPAを最も多く含む魚であるイワシを一度に8~10尾食べて、血液中のEPA の量を測定しました。すると、イワシを食べた後3~5時間で血液中のEPA の吸収量はピークになり、イワシを食べる前にはアラキドン酸に対するEPA の比率が約0.5だったのが、たちまち1.8にまで上昇していたのです。
これは、毎日魚を食べている漁村の人のEPA の量と同程度です。では、普通の食事に魚を取り入れた場合はどうでしょうか。
今度はイワシに限らず、カツオ、サバ、ニシンなどの背の青い魚を刺し身、煮付け、焼き物と調理法を変えて、朝昼晩の3食、3日間続けて食べてみました。
1食当たりの魚の量は、1人約300g です。2日後に血液を採取して、1ミリモルと2ミリモルの濃度のアラキドン酸を加えたところ、1ミリモルでは有意に血小板が固まるのが抑制されていました。
以上のような調査や実験から、アラキドン酸に対するEPA の割合が一定以上になると、血液の凝集が抑制されることがわかりました。したがって、血栓症を予防するには、少なくとも1日1食は魚を食べるようにするとよいでしょう。

ワインの成分は血管を詰まりにくくする

フランスでは心臓病の死亡率が低い

最近、赤ワインが健康によいといわれ、さまざまな効能に注目を集めています。もともと以前から絵専門家者の間では、赤ワインと心臓病などのかかわりについて、関心がもたれて
いました。心臓病の中でも、心筋梗塞や狭心症などを虚血性心疾患といいます。

虚血性心疾患は、心臓の筋肉に酸素や栄養を供給する冠状動脈の血流が悪化して起こる病気です。
。この病気による死亡率は、動物性脂肪などの飽和脂肪酸の摂取量と比例するものとされます。事実、肉類中心の食生活を送る人が多くなる先進国では、発展途上国に比べて虚血性心
疾患の発生率及び死亡率が高いのが特徴です。先進国の中で最たる例外、つまり虚血性心疾患の少ない国は和食が食習慣として定着している日本です。ただし、日本も食の
欧米化が急速に進んでいるため注意しなければなりません。

しかし、不思議なことに、日本に次いで虚血性心疾患の発生率が低い国は、フランスです。フランスの心臓病による死亡率はイギリスの約3分の1にしかすぎません。フランス料理といえば、バターやクリームが多量に使われ、カロリーも高く、動物性脂肪の摂取量も高いはずです。
当然、フランス人の動物性脂肪や肉の摂取量はヨーロッパ諸国の中でもトップクラスです。それなのに、なぜ心臓病の死亡率が低いのか。この現象はかねてより注目され、アメリカの栄養学者によってフレンチパラドックスと名付けられました。
パラドックスとは、逆説という意味です。研究が進むにつれ、この謎を解くカギが赤ワインにあることがわかってきたのです。フランスでは日常的に大量の赤ワインが飲まれており、その赤ワインに多く含まれているポリフェノールが体内の脂質の酸化を抑制して動脈硬化を予防するのではないかと考えられています。
日本ではまだ、ワインを日常的に飲むことはまれですが、山梨県は、日本有数のワインの産地です。私は山梨県のワイン醸造組合の協力を得て、ワインを習慣的に飲用している人たちの血液の検査を行い、これまでに知られている赤ワインの効能以外にどのようなものがあるのかを調査しています。

脳卒中が起きにくい人のタイプ

山梨県でワインの製造や販売に従事している人98名を対象に、検査を実施しました。その内訳は、男性90名、女性8名。平均年齢は43.6歳(21〜81歳) です。98名のうち、84名はほぼ毎日ワインを飲んでいました。
一日の平均飲酒量は、赤ワインが1.4合、白ワインは0.8合ほどでした。ワイン以外にビールや日本酒、焼酎など他の酒類を飲んでいる人もいました。さて、98人の血液を調べていくうちにはっきりとわかったことがあります。それは、血小板(血液を凝固させる血液中の成分)の数の違いです。ワインのみを飲んでいる人と、ワインのほかに他の酒類を飲んでいる人との間で、血小板の数を比較したところ、ワインのみを飲んでいる人のほうが少ないことがわかりました。
ワインのみを飲んでいる人の血小板の数は二22.8万個プラスマイナス5.7万個だったのに対して、他の酒類も飲んでいる人は26.3万個プラスマイナス3.3万個でした。血管が傷ついて出血するとその部分に血小板が集まって、お互いにくっつき合い、固まって血の塊(血栓) をつくり、傷ついた部分を応急的にふさぎます。このように、血小板は、血管が傷ついて出血した場合に凝固して止血をするという人間にとって重要な役割を担っています。
しかし、その数があまり多いと、血管の詰まりを招き、血液がスムーズに流れなくなってしまうので、血小板の多さは脳卒中の危険因子とされています。
特に高齢者では脳卒中の危険が増すと点についても指摘されています。
いくら赤ワインが健康によいといっても、アアルコールには違いありません。飲みすぎれば肝臓に負担がかかってくるのは当然のことです。しかし、適量をきちんと守って飲用すれば、赤ワインは、脳血管障害を予防してくれる可能性は大いにあるといえるでしょう。

ワインを常飲している人は痴呆の発生率も低い

また、山梨県下の100歳以上のすべての高齢者47人を対象にある調査を行いました。それぞれの生活状況などを調査検討し、痴呆のある人とない人に分けて、性別、家族構成、居住地域、飲酒歴、喫煙歴、骨折の経験などを比較しながら、ライフスタイルと痴呆との関係をみていきました。
ここでひとつわかったことは、痴呆が発症しない人たちの多くが飲酒歴のある人たちだったということでした。さらに、その人たちが主として飲んでいる酒類の30% あまりが、ワインだったのです。その関連性については今のところ、はっきりとはしませんが、これから究明されていくことでしょう。
フランスのある研究グループの報告によれば、ワインは痴呆の一種であるアルツハイマー病の予防に効果があるということです。
この研究グループは、赤ワインの名産地として世界的にも有名な、フランスのボルドー地方に住む、65歳以上の男女37777名を対象にある調査を行いました。

1日当たりのワインの飲用量によって、ほとんどワインを飲まない「非飲用者」、250mlまでの少量飲用者」、500mlまでの1中等量飲用者」、500ml以上飲む「多量飲用者」に分けて、さまざまな調査と実験を試みました。そして3年後、生存者は2273名に減少し、このうちの99名は痴呆と診断され、さらに66名はアルツハイマー病でした。ワインの飲用量による区分けをみてみると、適量をたしなむ「中等量飲用者」では痴呆がわずか0.9% しかいませんでした。
一方、「非飲用者」では4.9% 、「少量飲用者」では5.1% となっており、「多量飲用者」は逆に1.6% と、痴呆の発生は低くなっていました。ワインの飲酒と痴呆との関連は明確に説明できるまではわかっていませんが、少なくとも虚血性心疾患に対しては予防効果のあることが明らかにされてきています。

大学病院の実験で納豆が目の血管の詰まりの改善に役立つ

目の血管の詰まりは失明につながる

血管が詰まる病気というと、脳の血管が詰まる脳梗塞や心臓の血管が詰まる虚血性心疾患をイメージしやすいのですが、目の血管が詰まる病気もここ最近、増加しています。

眼の網膜には、動脈と静脈がそれぞれ四本通っています。この動脈の四本それぞれが元からすべて閉塞する(詰まる) のが網膜中心動脈閉塞症、一部閉塞するのが網膜動脈分枝閉塞症です。
静脈が同様に閉塞するのが、それぞれ網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症です。網膜動脈閉塞症は、網膜動脈内に生じた此蹴(血液の塊) が網膜動脈を閉塞する。とが原因です。心臓などほかの箇所にできた血栓が飛んできて、網膜動脈を閉塞することもあります。
特にこれといった予兆はなく、あるとき突然、網膜中心動脈閉塞症では一方の目が全く見えなくなり、網膜動脈分枝閉塞症では視野の一部が見えなくなります。
これらの病気が起こるのはまれですが、発症してから1~2時間のうちに治療しないと、失明したり視野欠損(視野が欠けること) が残ったりします。
網膜静脈閉塞症は、動脈閉塞症に比べて多く、網膜内で隣接する動脈の動脈硬化の影響で、静脈内に血栓が生じ、網膜静脈が詰まるものです。
動脈閉塞症よりはゆっくり発症しますが、中心が見えにくい、視野の一部が見えにくいといった症状が生じます。
動脈閉塞症、静脈閉塞症いずれも血栓が直接の原因であり、高血圧、糖尿病、肥満の人に起こりやすいといわれています。通常、血液は固まろうとする凝固系の働きと、
溶かそうとする線溶系の働きとがバランスをとっています。ところが、なんらかの原因で凝固系が優位になると、フィプリンという物質が作られ、血栓が生じます。
そのため毛感閉塞症の治療には、綿溶系の働きをする酵素(体内の化学反応を促進させる物質)であるるウロキナーゼという素を用いた治療法が中心になります。プラスミノゲンに作用し、間接的にフィプリンを分解するわけです。

近年、このウロキナーゼと同様の働きをする成分が、身近な食品で納豆に含まれていることがわかりました。
現在、ある大学の先生が納豆の成分中にナットウキナーゼという酵素を発見しました。このナットウキナーゼには、フィプリンを直接分解するとともに、線溶系の酵素であるプラスミノゲンの働きを活性化させて、間接的にもフィプリンを分解する働きがあることが明らかになったのです。
また、眼科医である医師が、網膜中心静脈閉塞症に対する納豆の治療効果を学会で報告しています。
こうした研究成果をもとに、私たちは網膜血管閉塞症の治療として納豆を取り入れたところ、臨床的に納豆の血栓を溶かす効果をみることができたのです。

視力が回復

右目がかすむとの訴えで受診したある58歳の男性は、切迫型の網膜中心静脈閉塞症でした。もう少しで完全に血管が閉塞するところだったのです。この患者さんに、ウロキナーゼの点滴を行わず、夕食時に毎日100g の納豆を食べてもらったところ、10日日に症状の改善がみられました。1ヶ月後にはほぼ正常な血管に戻り、現在も再発することなく、視力も1.2まで回復したのです。網膜動脈分枝閉塞症で来院した21歳の女性は、突然右眼の鼻側が見えなくなったといいます。このかたに、昼食と夕食に50 gずつ納豆を食べてもらったところ、閉塞していた血管が再疎通したのです。また、訴えていた視野欠損も少し回復しました。
納豆食が網膜血管閉塞症の主要な治療法であるとはいえませんが、患者さんによってはたいへん効果的であり、期待すべき治療法だと考えています。
しかも納豆はおいしく、安全で、そのうえたいへん経済的です。治療に用いるウロキナーゼは高額な薬ですが、納豆100g に含まれるナットウキナーゼの効力は、20万円分ものウロキナーゼに相当します。
また、納豆は血栓閉塞の予防に非常に似た有効な成分であることは確認されています。
日常的に1日おきにでも50g程度の納豆を食べるのがおすすめです。
血栓は明け方に出来やすいことが確認されており、それまでナットウキナーゼの効果を持続させるためには夕食時に食べるのがいいでしょう。
血栓予防に効果がある納豆ですが、ワーファリンというお薬を処方されている人は食べるのは、厳禁です。
納豆にはビタミンKが多く含まれますがこの成分がワーファリンの働きを阻害してしまいます。
ナットウキナーゼで血栓症を予防

動脈硬化を防ぐ、血液中の酸化窒素を増やす海藻

血管の健康に大きく影響する一酸化窒素

心臓病の専門である循環器の医師の多くは、ニトログリセリンという成分からなる錠剤をよく使用しています。このニトログリセリンは、狭心症の発作に対しての特効薬として長年使われています。
狭心症とは、心臓の筋肉に血液を送る冠状動脈に起こった動脈硬化によって心臓の筋肉への血流量が減り、心臓の壁を構成している筋肉がエネルギー不足になるやがて胸が痛い、締めつけられるといった発作が起こる病気です。
そこでニトログリセリンを口に含ませます。体内に入ったニトログリセリンは、数段階の過程を経て一酸化窒素を生み出します。

動脈硬化も血栓も防ぐ一酸化窒素

一酸化窒素は、体のさまざまな細胞で作られています。血管についていえば、動脈の最も内側の内皮細胞という細胞でよく作られ、血液中に放出されています。
そもそも人間の動脈は、外側から順に外膜、中膜、内膜の三層構造になっています。
外膜は、非常に丈夫な繊維状の組織から成り立っていて、血管の強度を保っています。
中膜には、血管平滑筋という筋肉のようなものがあります。この血管平滑筋が収縮と弛緩をくり返すことで、血液の通り道の幅が変化し、血液の流れが調節されています。
内膜は、血液と接する内皮細胞とその外側にある組織から成り立っています。この内皮細胞はさまざまな物質を作って血液中に放出しています。そうした数々の物質の中の一つが、一酸化窒素なのです。一酸化窒素は、内皮細胞の中にあるアルギニンというアミノ酸(たんばく質の構成成分の一種)をもとにして作られています。そしてある種の物質や血液の刺激を受けたりすると、内皮細胞から放出されます。
こうして放出される一酸化窒素が血管の健康に大きく役立っているいるわけです。
まず一酸化窒素には、動脈硬化を防ぐ働きがあります。
動脈硬化になると、中膜にある血管平滑筋が増えたり収縮したりします。
すると、血液の通り道はどんどん狭くなり、血流は低下していきます。
しかし、一酸化窒素には、血管平滑筋がふえるのをおさえる働きがあります。
また、収縮した血管平滑筋を弛緩させる働きもあります。さらに、血管の中で血栓(血の塊) ができるのを防ぐ働きもありますし、血管を収縮させて血圧を上げる物質の働きを阻害する働きもあります。ですから、血管の詰まりを防ぐには、一酸化窒素の存在が不可欠なのです。
ただ、年をとるとともに、一酸化窒素を作り血液中に放出している内皮紳胞は死に、数が少なくなります。そして今のところ、残念ながら内皮細胞を再生させたりふやしたりする方法は、わかっていません。しかし、不足した一酸化窒素を補う方法はあります。

魚の小さい卵を夕食に食べる

一酸化窒素は、アルギニンという物質をもとにして作られています。このアルギニンを多く含んでいる食べ物をうまく摂るようにすれば一酸化窒素を補給することができます。
アルギニンを効率的にとるには、イクラやスジコ、タラコ、カズノコなど魚の小さい卵が集まった食べ物を摂ります。
卵が寄せ集まったような食べ物こそ、たくさんの細胞核が集まっていて、非常に効率的にアルギニンを体内に摂り入れることができるわけです
ただ、コレステロール値が高い人は、これらの食べ物を口に入れられるのはNGです。そうした場合は、海藻が代用できます。海藻全般も一酸化窒素を増やす食べ物といえます。
海藻にはアスパラギン酸という成分が含まれています。このアスパラギン酸は、一酸化窒素のもととなるアルギン酸が体内でできるのを助けます。
さらに、体内にアスパラギン酸があると、いったん一酸化窒素を作り出して分解されたアルギニンを再び分解前の構造に戻すことが出来ます。
簡単にいえばアルギニンから何回でも一酸化窒素を作り出すことが可能になるというわけです。
また、魚の卵や海藻は夕食時に食べるのがおすすめです。
午前6~8時という起床の時間帯が血管の収縮が多発するためです。

眠っているときは副交感神経(心臓の働きをおさえたり消化器の働きを促進したりする神経) が優位な状態で、朝起きると交感神経(心臓の働きを促進したり消化器の働きをおさえたりする神経) が優位な状態に移行していきます。この移行がうまくいかないと、血管が収縮してしまう可能性が高まってしまいます。ですから、夕食にアルギニンやアスパラギン酸を含んだ食べ物を食べておけば、起床時に起きやすい、脳梗塞、心筋梗塞などを防ぐことにつながります。

脳や心臓を破壊する血管の詰まりは朝の時間に多発

血圧の変動は24時間のリズムがある

血圧は、1日のうちに一定のリズムを刻んでいます。夜間に眠っている間が最も低く、朝起きると急激に上がります。自律神経とも深く関わっています。
日中は活動の程度に応じて変動します。そして夜に向かってだんだん低下していきます。体がそのときそのときに最も適した状態になるように調節されているのです。
血圧の高い人も、普通の人よりも値は高いですが、昼間は高く夜は低いというカープを描くのが一般的です。
ところが、このようなパターンに属さない高血圧の患者がいることが、最近になってわかってきました。この患者たちは、次の二つのタイプに分けられます。

一つ目のタイプが、夜間の血圧があまりに下がらない、あるいは逆に夜間に血圧が上昇する人です。これを「ノン・ディッパー」といいます。
「ディップ」は、「くぼみ」という意味ですから「血圧の下がり具合が少ない人」ということになります。

ノン・デディッパーは、単に血圧が高いだけでなく、ほかの臓器に障害が出ている人や、重症の高血圧の患者に多くみられます。お年寄りにもこのタイプが目立ちます。
一見健康でも、目に見えないところで臓器の障害が進んでいたり、機能が低下している場合が多いためと考えられます。

さて次に、血圧の変動のリズムが正常ではない第二のタイプにです。このタイプは、夜に血圧は下がるけれども、下がり具合があまりに急激、または大幅で、昼夜の落差が大きい人です。
このタイプを「ディッパー」といいますが、昼夜だけでなく、もっと短い時間で血圧を見ても、上下の変動が激しいのが特徴です。このような人は高血圧による病気の中でも、特に脳の血管障害が進んでいる可能性があります。

タイプにより治療が異なる

ノン・ディッパーやディッパーの人は、普通の高血圧の人よりもリスクが高いので、注意が必要です。
第一のタイプ、つまり、夜間も血圧が下がらない、もしくは上がるノン・ディッパーの人は、脳卒中や心臓病になりやすい、あるいはすでに進行している人と考えられます。
というのも、動脈硬化が進んで、血管のいたるところが狭まっていると、血管が狭くなった先の部分にまで血液を行き渡らせるには、血圧が高いほうが都合がいいわけです。だから夜間も血圧を高くして、循環を維持するように体のシステム自体が調節している可能性があるのです。
このように、たとえ血液の循環を維持するために血圧が上がっているとしても、放置しておくと高血圧によって臓器の障害がますます悪化してしまうので、血圧を下げる治療をしなければなりません。
ただし、どの程度下げるかが問題で、急に、あるいは大幅に血圧を下げると、体の機能をうまく調節できなくなる恐れがあります。
ですから、現在の機能を損なうことなく、なおかつ将来にわたって病気の発症を抑制していくためには、長い時間をかけて少しずつ血圧を下げていくような治療が大切です。次に第二のタイプ、つまり、夜間と昼間の血圧の落差が大きいディッパーの人の注意すべき点です。このタイプの人は、血圧が変動しやすいということ自体が、脳の血管障害を進行させている可能性があります。
そもそも血圧は、高くても低くても安定しているのが望ましいのです。急に血圧が下がると、血液がきちんと送り込まれなくなって、組織に障害を与える危険性があります。
急に血圧が上がると、血管に大きな負担がかかり、血栓(血の塊) ができやすくなるからです。
デイツパーの人も、昼間の血圧は高いわけですから、降圧剤などで血圧を下げるようにしなければいけません。ところが、注意しなくてはいけないのは、降圧剤の服用によって、血圧の変動がより大きくなる場合があることです。
特に、昼間の血圧だけを目安に降圧剤を服用していると、深夜に血圧が下がりすぎることがあります。このとき、脳の血管に狭くなったところがあると、睡眠中は水分の補給が途絶えているために血液が濃くなり、流れにくくなっていることも手伝い、脳梗塞(脳の血管が詰まって起こる脳卒中) を起こしてしまう危険があります。
したがってディッパーの人には、急に血圧を下げるようなタイプの効く時間が短い降圧剤は、血圧の変動を大きくしてしまうので、望ましくありません。一日に一回だけ飲めばいいような、長く穏やかに作用する薬が最適です。

どのタイプも朝~正午が危険度が高い

最初に「血圧は、昼間は高くて、夜は低い、という一日のリズムがある」といいましたが、これに関係して、すべてのタイプの高血圧患者に共通して注意が必要な「危険な時間帯」があります。これは、朝~午前中にかけてです。
朝方は、血圧が上昇しているだけでなく、脈拍の数やホルモンの分泌が増え、血液の固まりやすさも増します。
さらに前夜から水分補給をしていないため、血液が濃くなっていて流れにくい状態でもあります。さまざまな方面から血液が詰まりやすい状態になっているということです。

このとき、もし血管に傷などがあると、血栓ができやすく、出血が起こりやすいのです。しかも降圧剤を服用している人にとっては、朝起きてから薬を飲むまでの間は、薬の効き目が最も弱くなっているときなので、血圧がより高くなりがちです。実際、
心臓の血管が詰まって起こる心筋梗塞、狭心症、脳の血管が詰まったり出血したりして起こる脳梗塞、脳出血などは、明け方から起床後3~4時間に多く起きています。これを「モーニング・サージ」(朝の一撃)と呼ばれています。
モーニングサージを防止するには、朝方の血圧を調節することに加えて、「就寝前や起床時に活動をはじめる前に水分をしっかいr補給して血液の流れをよくしておくことが重要です。