血管はもっと若返る

血管の詰まりを防ぐ食品のベスト1はマグロのトロ

100種類以上の食品の血栓予防効果を分析

生活習慣などにもよりますが、一般に老化現象として、加齢により血管からはしなやかさが失われ、血液もドロドロと濃くなってきます。すると、血液の塊である血栓ができやすくなり、血管の詰まりが起こりやすくなります。
食物に含まれる機能性成分によって血栓の予防ができないかと、さまざまな研究が行われています。
その中で、野菜や魚の血栓を防ぐ効果を一つ一つ分析して、それを点数で表してみることにしました。
これを、「血栓予防点数」と呼んでいます。これまでに100%種類以上の野菜や魚を分析して、血栓予防点数をつけてきました。その結果、100g当たりの点数で比較して血栓予防効果が最も高かったのが、本マグロのトロで、1600点という点数でした。ほかにサバ、ハマチ、マダイが1500点前後と高く、これにマイワシ、ウナギ、サンマ、ハモと続きます。これらの魚にはE PA (エイコサペンタエン酸) やDHA (ドコサヘキサエン酸) という不飽和脂肪酸が豊富なのが特徴です。
このEPAやDHA には、さまざまな効能があることが近年の研究から明らかになってきています。
なかでも、血栓ができるのを防いだり、悪玉コレステロールをへらしたりするという働き健康にとってたいへん有用なものです。一般に食卓に上るマグロやハマチ、マダイなどはたいてい養殖のものですが、養殖の餌にはイワシが使われています。イワシもEPAやDHAを多く含む代表的な魚の一つですから、そのイワシを餌にしている養殖の魚が高得点なのは納得がいきます。
野菜については、ニンニク、ホウレンソウ、ニラ、トマトなどが高く、果物ではマスクメロン、プリンスメロンといったメロン類が高得点になっています。

血栓を予防する魚介類の点数一覧

血栓を予防する野菜類の一覧

1日1000点をバランスよくとる

ただし、血栓予防点数がそっくりそのまま血栓の防止に反映するわけではありません。食品の作用は薬品とは違い、さまざまな成分の複合的なものですから、絶対に正確な一定の数値というのはありえないのです。
とはいえ、血栓予防の目安としては十分に活用できると考えています。血栓予防点数のつけ方は、魚の場合はEPA 、DHA の量と血栓予防効果とが相関していることがわかりましたので、これらの含有量で点数をつけました。
野菜、果物については、やはり血栓を防止する物質であるアスピリンと効果を相対的に比較することから、点数をつけました。
この際、野菜や果物をジュースにして測定しているため、点数は水に溶ける成分の効果だけを示すものになっています。しかし、水に溶けない成分に血栓を防ぐ効果があることもありますから、実際の効果はこの限りではないでしょう。
しつこいようですが、あくまでも目安なのです。これらの数値は生の状態での値ですが、加熱、加工してもさほど効果が変わらないことがわかっています。
実験でもイワシをさまざまに加工調理したのですが、意外に数値は維持されていました。食品によっては、加熱することでむしろ血栓予防効果が高まると考えられるものもあります。では、血栓予防のためにはどのような食事を摂ればいいのでしょうか。目安としては、1日に血栓予防点数が600点になるような食事をすることです。それも、できるだけいろいろな食材をバランスよく取り入れることが大事です。点数が高いからと、マグロのトロばかりを食べるわけにはいきませんし、なにより栄養バランスを考えた場合、多種類の食品を食べるのが基本です。1回1000点以上の抗血栓食を食べるだけで血栓の予防にかなりの効果があることが、実際に食事をしたうえでの実験でわかっています。
実験は、5人で9食同じものを食べて、血液を固める血小板の凝集作用がどのくらい抑制されるか、そして血液がスムーズに流れる能力を示す流動性がどのくらい向上するかを検査したものです。実験開始時の一食目は人によって数値がバラバラだったのが、9食目には平均してきました。このことからも抗血栓食をコンスタントに食べていれば、影響がはっきり出るのでは、という印象を持っています。こうしたことから、成人病(生活習慣病) を防ぐためにも、1週間に最低2回、1回1000点以上の食事をしてほしいものです。同じ血栓予防食でも、メニューを魚中心にしたら、次の食事は野菜中心にするなどの変化をつけて、より多くの食材を取り入れるようにしてほしいものです。

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