坂ののぼりおりが血圧を下げる

脚を動かさないと高血圧になる

神社に願をかけるために、毎日石段を1 り下りし、お百度参りを続けているうちに、病気が治ったという話を耳にすることがあります。
願いがかなって喜ばしいかぎりですが、実はこれには医学的な根拠があるのです。1脚は第二の心臓」という言葉をご存じのかたも多いでしょう。心臓から動脈を通って送り出された血液は、体のすみずみをめぐつた末に静脈を通って再び心臓に戻ってきます。
しかし、心臓から最も離れた位置にある足は、地球の重力の影響で血液が心臓へ戻りにくい環境にあります。また、たしかに心臓は血液循環の原動力となっているのですが、足先の毛細血管から血液を引き戻す力はありません。
そこで、脚の筋肉を動かすことが必要なのです。脚には、全身の筋肉の約3分の2が集まっているといわれています。
この脚の筋肉をよく動かすことによって、筋肉の中を通っている静脈は圧迫されて収縮し、血液はスムーズに先へ先へと流れます。つまり、脚から心臓への血液の戻りをよくすることによって、全身の血仙准循環がよくなるのです。このように脚の筋肉にも全身の血液循環を高める働きがある.ので、「脚は第二の心臓」といわれているのです。しかし、私たち現代人は脚の筋肉を使わないことが多くなっています。すると脚を含めた下半身の血液循環が悪くなり、それだけ上半身の血液がふえています。
すると、頭は充血し、のぼせやイライラが起こってくるのです。こうした状態が続くと、高血圧になってしまいます。もともと高血圧ぎみの人は、さらに血圧が上昇してしまうのです。

神社仏閣の参詣は血液循環をよくする

脚を動かさないために高血圧になってしまうことを避けるためには、もちろん脚の筋肉を活発に動かすことが重要です。
誰にでもいちばん手っ取りばやい方法は、歩くことだといえるでしょう。まずは背筋を伸ばし、胸を張って大股で歩きましょう。歩幅の目安は、自分の身長の二分の一程度。腕を大きく振ると自然と歩幅が広がってくることを自覚できるはずです。また、後ろ足で地面をけり出すときに、ふくらはぎを伸ばすことを第一に考えるようにしましょう。そうすれば、先ほどお話しした全身の血液循環をよくするのに効果的です。歩くときの心拍数は1分間に100回程度がベストです。多くても、220から自分の年齢を引いて、それを0.75倍した数の心拍数を超えないようにします。ふだんよりこころもち早足で、会話をしながらでも歩ける速さを目安に歩けばいいでしょう。こうして連続して30分ほど歩くと、うっすらと汗ばんでくるはずです。このとき脚が血液を体中にめぐらせるポンプの働きをしてくれているのです。また、神社や仏閣を歩くコースに取り入れると、高血圧を解消する効果は数段上がります。多くの神社仏閣は小高い丘の上にあり、たいていは石段がつきものです。こうした坂や石段を上り下りすると、平地を歩いているときよりも脚の筋肉は強く鍛えられることになります。脚の筋肉の伸び縮みがくり返され、全身の血液循環が促されて高血圧の解消にいっそう効果的なのです。
坂道や丘を上るときには自然とつま先が上がり、ふくらはぎが十分に伸びます。また、石段を上り下りするときは、自然と足首を伸ばしたり曲げたりしているはずです。足首を伸ばした状態ではつま先に体重がかかり、ふくらはぎの筋肉が縮んでいます。反対に、足首を曲げた状態では、かかとが地面に着き、つま先は上がり、ふくらはぎの筋肉が伸びています。こうした脚の筋肉の収縮や弛緩によって血管が圧迫されたり広がったりして、血液は心臓に戻りやすくなるのです。

坂や階段を上り下りすることによって全身の血液循環がよくなり、お百度を踏むことによって足の裏のツボを刺激する。冒頭に述べたような神社仏閣への参詣、お百度参りによって病気が治る例があるというのは、これらの相乗効果によるのではないかと推測できます。毎日、神社仏閣へ参詣するのは難しいかもしれませんが、坂道や階段などの場所を見つけて歩いてみるのはいかがでしょうか。