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緑茶を飲むと善玉コレステロールが増加し余分な脂肪が減少

薬物療法の前に緑茶を飲む

コレステロールは、善玉コレステロールと呼ばれるHDLと、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLの2つに大きく分けることができます。健康な人の、LDLとHDLを合わせた総コレステロール値は、150~200mg/dlです。このうち、LDLが70~120mg/dl、HDLが40~600mg/dlというのが理想的なバランスです。
LDLの割合がふえると、回収されなかったコレステロールが動脈壁に付着してお粥のような塊ができ、やがては動脈が弾力を失い、硬くもろくなって動脈硬化を起こすわけです。

ですから、LDLの割合が増加したときは、すぐに正常な状態に戻さなければいけません。病院での治療ではコレステロールの合成を阻害する薬などを使います。
そうするとLDL とHDL のバランスがよくなります。
しかし、私は、薬で治療する以外に、ふだん私たちが食べたり飲んだりするものでLDLとHDL のバランスを正常にできないだろうかと考えました。それは、次のような理由からです。
高齢の患者さんの中には、総コレステロール値が250~290mg/dl、あるいは300mg/dl以上という人も少なくありません。300mg/dlといえばかなり高い値です。ところが、それでも目立った動脈硬化がなく、血圧も高くなく、心臓病にもならず、ボヶにもなっていない人がいます。
通常はそんなケースでも薬を使ってコレステロール値を下げるわけですが、果たしてこんなケースでも薬で下げなければいけないのだろうかという疑問がありました。そこで、薬を使って下げる前に、緑茶を飲みながら、しばらく様子を見てもいいのではないかと考えたのです。緑茶に含まれているカテキンという渋み成分に、コレステロール値を下げる作用があることがわかったからです。

茶菓を食べるのも有効

注目すべき実験は、ラット(実験用のネズミ) を使った実験です。カテキンをエサに混ぜてラットに食べさせたところ、ラットの善玉コレステロールがふえ、中性脂肪がへったという実験です。、
この実験結果が人の場合にも当てはまるかどうかという点に興味が湧きました。もし人の場合でも同じような効果があるなら、薬を使う前に、患者さんにカテキンを勧めることが可能になります。
そこで、人のコレステロール、中性脂肪へのカチキンの効果を調べることにしました。まず、コレステロール値が高い人、糖尿病の人、高血圧の人、そして健康な人30~70歳代の男女計37人にカテキンを飲んでもらいました。。
12週間にわたって、カテキン500mgを1日2回に分け、朝食後と夕食後に飲んでもらいました。食事については制約をせず、各自好きな食事をしてもらいました。そして、カテキンを飲み始める前と飲んだ後の血液中のコレステロールや中性脂肪の値がどのように変化するかを調べたのです。
その結果、平均では、血液中の総コレステロール値に変化がなかったものの、善玉のHDL コレステロールだけがふえ、さらに中性脂肪はへっているのが確認されました。人の場合でもカテキンの効果が認められたのです。これは、とりもなおさず私たちが毎日緑茶を飲めば、LDLとHDL のバランスがよくなり、動脈硬化の予防にもなることがわかったということです。
希望があればお茶を飲む代わりに錠剤のカテキンを飲んでもらっています。この錠剤1粒には50mgのカテキンが含まれています。
これを毎食後に2粒ずつ1日合計6六粒、緑茶にして5~6杯分のカテキンを飲んでもらっているのですが、とてもいい結果が出ています。もちろん、カテキンの効果は家庭で緑茶を飲んでも同様に得られます。1人1回分の茶葉の量を1.5~2.0g にし、それを60~80度のお湯150ccでいれるのがベストです。そうすると、50~60mgのカチキンが抽出できます。

行った調査では1日500mgのカテキンを飲んでもらいました。調査と同じょうな効果を期待するなら、日に10杯の緑茶を飲むのが目安になります。しかし、中には10杯も飲むのは無理だという人もいるでしょう。
そんな人にはお茶を飲む以外に、茶葉を食べて不足分を補うことをお勧めします。茶葉の食べ方としては、たとえば天ぷらを揚げるときに、粉末にした茶葉(スプーン1杯分) を天ぶらの衣に入れて揚げるのもいいアイデアです。そうするとお湯には溶け出なかった茶葉のビタミンやミネラルまで丸ごと摂取でき、健康効果が倍増します。

食物繊維がコレステロールを便と一緒に排泄

食べ過ぎ、飲み過ぎはNG

動脈硬化の予防には、どんな食品がコレステロールを増やすのか、または、減らすのかという関係をよく知ることが非常に大切です。
それには、コレステロールを「摂りすぎない」「置かせない」ことです。
「摂りすぎない」というのは、食べすぎや飲みすぎに注意することです。エネルギーを過剰に摂れば、それだけ肝臓で作られるコレステロールや中性脂肪(体内の最もありふれたタイプの脂肪で代表は皮下脂肪) をふやす原因になるからです。ところで、「摂りすぎない」と言うと、コレステロールを多く含む食品を食べないようにしようと考えがちですが、これは必ずしも正しいとはいえません。コレステロールの多い食品を摂っても、コレステロール値が上昇する人もいれば、全く上昇しない人もいるからです。
それから、コレステロールの多い食品が必ずしも動脈硬化を進行させるとは限りません。コレステロールの多い食品の中には、体に必要なほかの栄養素をたくさん含んでいたり、反対に動脈硬化の予防につながるビタミンEなどの成分が含まれていたりするからです。

便と一緒に排泄していく

「摂りすぎない」、つまり、食べすぎ飲みすぎに注意したあとは、コレステロールを「置かせない」ことが重要になります。「置かせない」とは、体内の余分なコレステロールをすみやかに体外に追い出すことです。
コレステロールは、小腸で脂肪を消化する働きをする胆汁酸の材料になります。胆汁酸はその作業が終わると、一部は便として脈那されますが、大部分は小腸から吸収されて肝臓に戻り再利用されます。しかし、便といっしょに出ていった分の胆汁酸は、新たに肝臓のコレステロールから作られるので、そのぶん、肝臓の中のコレステロールの量がへります。すると、肝臓は材料となるコレステロールを血液中からさかんに取り込みます。その結果、血液中のコレステロールがへり、総コレステロール値、悪玉コレステロール値が下がります。
つまり、余分なコレステロールは、胆汁酸にして、便としてどんどん排泄すればよいのです。このコレステロールの排泄の促進に大いに威力を発揮するのが食物繊維です。

1日の食物繊維は20~30gが理想

ところで、食物繊維といっても、「非水溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2つがあります。食品により2つの繊維の含まれる割合はさまざまです。
また、2つの繊維の体への作用のしかたも微妙に違います。まず、非水溶性食物繊維はゴボウやタケノコなど、筋っぽい感じがする野菜や、穀類、キノコ、イモなどに多く含まれています。その働きは、体内であまり消化されず、逆にスポンジのように水分を含んで、数倍から数十倍に膨らみます。それによって刺激された腸壁は、先へ先へと送り出そうと活発に動きます。そして、便の量をふやしながら、排便が促進されます。そのため、非水溶性食物織維は、便秘の解消・予防、または大腸ガンなどの予防にも効果があるといえます。
水溶性食物繊維は、果物や豆類、ニンジン、海藻、コンニャクなどに多く含まれています。水溶性食物繊維は、水に溶け込み、ぬるぬるとした性質を持つため、小腸で胆汁酸を吸着します。また、腸内でだぶついているコレステロールも吸着して、そのまま便となって排泄します。そのため、コレステロールの排泄を促進する効果は、非水溶性食物繊維よりさらに強力です。また、水溶性食物繊維は糖質の腸からの肪収をおさえる作用があるために、摂取するとで軽いカロリー制限と同じ効果が生じます。その結果、肝臓でのコレステロールや中性脂肪の合成がさらにおさえられることにつながります。
コレステロールをどんどん体外に排出するこれらの食物繊維は、非水溶性食物繊維と水溶性食物繊維を合わせて、1日に20~30g摂るようにしなければ、効果は期待できません。これは意識して摂らないとなかなか難しいことですが、昔の日本人はこれくらいの量は十分に摂っていたのです。伝統的な和食を見直すいい機会です。
なお、食物繊維は加熱してもそれほど損なわれることはありません。煮物などにすれば、それだけ量を多く食べられます。